座敷牢群島

日頃触れ合った様々な文化についての備忘録となっております。

姫路市立美術館「連作の小宇宙」

 姫路駅から歩いて15分ほどのところに姫路市立美術館がある。庭園を囲むように建っている赤レンガ造りの建物はもともと陸軍兵器廠だったらしい。

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 今回「連作の小宇宙」という連作というあり方に焦点を当てた展覧会が催され、様々な連作を並べて展示している。

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 コンセプト自体が薄いので統一性はあまり感じないが、面白い連作が多く見ごたえはあった。

 ピカソの「ヘレナ・ルビンスタインの肖像」は化粧品会社の社長を描いた素描で24枚からなる。写実的な素描もあるが、作品のなかに複数の視点が現れたキュビズム的な構成の素描もある。写実的な素描からキュビズム的な作品が構成されていくようなピカソの実験がわかりやすく示されているようで興味深かった。

 大野麥風「大日本魚類画集」は様々な魚が見事な版画で刷られている。原画を描くために潜水艇にのり、200度も木版を重ねて刷ったという作品は極めて精緻で色鮮やかだ。人が少なかったのでじっくり見ていたのだが、なんだか水族館に来ているような気分にもなった。写実的ではありながら木版特有の柔らかみがあり、構図も図鑑とは違い自由なので飽きが来ない作品になっている。