スザンナ・フォーレスト(松尾恭子訳)『人と馬の五〇〇〇年史 文化・産業・戦争』
スザンナ・フォーレスト(松尾恭子訳)『人と馬の五〇〇〇年史 文化・産業・戦争』(原書房、2017年)
馬と人間の関わりを様々なテーマから取り上げていく一冊。構成としては進化、家畜化、野生、文化、力、肉、富、戦というテーマに分けられている。
ジャーナリスト兼作家である作者が馬に纏わる様々なところを取材し、その内容を馬の歴史と織り交ぜながら平明に読者に提示している。モンゴルの自然自治区や中国のポロチーム、アメリカの廃馬処理所など特殊な場所の実情を知ることができるのは面白い。個人的に、肉を取り上げた部分は楽しく読めた。馬肉食を巡る人々の葛藤や反発の歴史はなかなか知ることができない事実なので興味深かった。
専門的な話は少ないのだが、A5判で400ページ越えなので全部読み通すとなると意外と骨が折れる。全体として強いつながりがあるわけでもないので、興味があるところだけ拾い読みすればいいかもしれない。