座敷牢群島

日頃触れ合った様々な文化についての備忘録となっております。

国立近現代建築資料館「紙の上の建築 日本の建築ドローイング1970s – 1990s」展

 面白い展覧会が無いかなとネットを彷徨っていると、こんな記事を見つけた。

artscape.jp

 多少建築に興味があれば知っているような建築家が紙の上に展開したヴィジョンを無料で見られるというのは魅力的だ。国立近現代建築資料館という施設があることはなんとなく知っていたのだが、湯島にあるとは知らなかった。

 湯島合同庁舎の入り口で守衛さんに声をかければ資料館に無料で入れる。外観はこんな感じ。

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不思議な雪だるまもあった。

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 特に面白かった作品だけ感想を。

 磯崎新シルクスクリーンの作品群は、設計される前に建築家が持っているイメージを視覚化したものなのだろうか。コンセプトそのものの美しさを知ることができて大変楽しい。

 藤井博巳のドローイングは掛け値なしにカッコいい。軸測投影法という手法だそうだが、この方法が持つ意味については紹介したartscapeの記事に詳しい。

 藤井のドローイングを見た時、個人的にはソヴィエトの建築家レオニドフを思い浮かべたことはメモ程度に書いておきたい。建てられざる建築としてペーパー・アーキテクチャを展開していたレオニドフと藤井を比べるのは無理筋ではあるのだが……。

 

 象設計集団が書いた資料群がデジタル映像として閲覧できたことも面白かった。沖縄で実際に都市計画に携わったときの資料は、理想と現実を上手く調和させようとする建築家の腕が見られて興味深かった。

 これだけ内容が濃い展覧会が無料であることには驚いたのだが、極めて丁寧なカタログが無料配布されていたことには衝撃。特に最後に付されている「建築ドローイング年譜」は白眉と言えるだろう。